君の目線の先
運動場では、たくさんの運動部が活動していた。
野球部、サッカー部、ラグビー部、ハンドボール部、陸上部…
どの部活をスケッチしようか、それとも風景を描こうか。
そんなことを考えながら、ぶらぶらと歩いていた。
キャーキャー
賑やかな声がした。
ベンチを見たら、美織がいた。
美織たちが見ている先を見たら、サッカー部がミニゲームをしていた。
なるほどな…
とりあえず話しかけてみよう。
「よっ、美織。」
「優平~!
久しぶりじゃん。こんなとこで、何してんの~?」
「ん~、スケッチしようかと思ってきたんだけど、美織見つけたからさ」
「そっか~笑
サッカー部描いてよ!
ほらあれ!黄緑着てるのが、うちの彼氏っ!」
「あ~…新キャプテンなんだろ?
すごいよな~」
「でしょっ!」
美織は俺の気持ちを知らない。
だから、彼氏の自慢をしてきても不思議ではないが、胸がチクッとした。
ああ、気持ちを伝えてれば…
「ゆーへいっ!
なにボーッとしてんの?
早く描いてっ」
そうやって、美織に笑顔で頼まれると、断れなかった。
また昔みたいに、うまいねって、誉められたかったのかもしれない。