君の目線の先



運動場では、たくさんの運動部が活動していた。

野球部、サッカー部、ラグビー部、ハンドボール部、陸上部…
どの部活をスケッチしようか、それとも風景を描こうか。
そんなことを考えながら、ぶらぶらと歩いていた。



キャーキャー

賑やかな声がした。
ベンチを見たら、美織がいた。
美織たちが見ている先を見たら、サッカー部がミニゲームをしていた。

なるほどな…


とりあえず話しかけてみよう。



「よっ、美織。」

「優平~!
久しぶりじゃん。こんなとこで、何してんの~?」

「ん~、スケッチしようかと思ってきたんだけど、美織見つけたからさ」

「そっか~笑
サッカー部描いてよ!
ほらあれ!黄緑着てるのが、うちの彼氏っ!」

「あ~…新キャプテンなんだろ?
すごいよな~」

「でしょっ!」



美織は俺の気持ちを知らない。
だから、彼氏の自慢をしてきても不思議ではないが、胸がチクッとした。

ああ、気持ちを伝えてれば…



「ゆーへいっ!
なにボーッとしてんの?
早く描いてっ」


そうやって、美織に笑顔で頼まれると、断れなかった。
また昔みたいに、うまいねって、誉められたかったのかもしれない。



< 3 / 6 >

この作品をシェア

pagetop