君の目線の先
ベンチに座り、スケッチブックを広げる。
動いている人を描くのは、少し難しかった。
どの瞬間を描こうか。
「龍っ!
ナイスシュート~っ!」
「美織、今のが彼氏?」
「そうそうっ!
まじやばい!かっこいい!」
「じゃ~…今の描く。」
「まじでっ!?優平ありがと!」
この笑顔。
俺はこれが見たかったんだ。
サッサッサッ
さっきのシュートした瞬間を、何回も頭に思い浮かべて描いていく。
サッサッサッ
「優平やっぱうまいな~」
「村野くんだ!」
「2人どんな関係~?」
「うま~っ」
俺に気づいた女子が、わらわらと集まってきた。
「ちょっとみんな!
今優平は、スケッチ中で集中してんだから、邪魔しないでよね!
ちなみに幼なじみね!」
美織はいつもこうだ。
集中してる俺を助けてくれる。
やっぱり好きだ。
「よし、と。
美織、こんなもんでいい?」
「わわわ~っ!
龍だ龍だ!うまっ!」
「これまだ下書きみたいなもんだから、またちゃんと描くな」
「まじ~?
ちょっと待って、龍紹介するから!
龍~!!」
げっ、別にいいのに…(汗)
サッカー部は今休憩らしく、すぐにやってきた。
「美織、どした~?
どうやった?さっきの俺のシュート!
あれ美織のために撃った(笑)」
「やだ龍ったら(笑)
あ、紹介するね。
うちの幼なじみの優平。」
「村野です…」
「ムラノ ユウヘイ…
あ~っ!知ってる知ってる!
美術部のイケメン君やろ!
俺、池田 龍って言います!
サッカー部のキャプテン」
「あ~俺も知ってる(笑)
キャプテン頑張ってください。」
「優平なんで敬語~(笑)
とりあえず、優平はうちの家族みたいなもんやから、仲良くしてあげてね」
「おう!」
池田 龍くん。
めっちゃいい人そうだった。