茜ヶ久保マリネの若気の至り
序章
「あのぉ…すみませぇん…」

修学旅行の学生だろうか。

セーラー服姿の女学生3人組が、デジカメ片手におずおずと近づいてくる。

「お写真…一緒に撮っていただいていいですか?」

「写真んんん?」

私は手にしたワイングラスを弄びながら、気だるげに呟く。

「あんた達私を誰だと思ってるの?世が世なら、この天空宮の…いいえ、世界の全海域を手中におさめる人魚の女帝となってた女よ?あんた達みたいな一般平凡市井の民間人が、一緒に写真を撮れると思ってるの?」

「そ、そうですよね…」

ガックリと項垂れ、引き下がろうとする女学生達。

その背中に。

「私を真ん中にしての撮影なら許すわ」

私はツンと澄ました顔で言ってやった。

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