茜ヶ久保マリネの若気の至り
人の身では、人智を超越した魔物ですら抗し切れない自然の脅威と同等の威力を秘めた私の『秘術』が、海刀神の切っ先から発動しようとする!

その瞬間!

「マリネ様ぁ!」

不意に聞こえてきた、私を呼ぶ複数の声。

「ちっ…」

思わず舌打ちする。

この声には覚えがある。

私の住む人魚の国の侍女達だ。

「ふふ…」

青ざめた顔色でリヴァイアサンが笑った。

「命拾いしたね」

「どっちが…?」

大量の出血で顔面蒼白となりながら。

それでも私の心だけは、まだ折れていなかった。

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