茜ヶ久保マリネの若気の至り
絶対恭順という名の服従
天空宮市の海岸線。

その切り立った断崖に、干潮時のほんの一時間しか姿を現さない洞窟が存在する。

あまりにも僅かな時間の為、外敵がその深い洞窟を探索する事は不可能。

洞窟の奥まで入り込み、最深部にまで辿り着かないうちに、洞窟内には大量の海水が流れ込んでくるからだ。

天然のトラップを仕掛けられた洞窟。

こここそが、天空宮に棲み付く人魚達の住処だった。

その居住空間。

「く…」

私は身につけていたボディスーツを脱ぎ捨て、侍女の人魚に背中の傷の治療をしてもらっていた。

治癒魔法で傷を回復させるものの、完全治癒には少々時間がかかる。

流石は濃密な魔力を帯びたリヴァイアサンの頭角による刺突。

只の刀剣で傷つけられたのとは訳が違った。

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