茜ヶ久保マリネの若気の至り
啖呵を切って洞窟を出る。

…これでしがらみはなくなった。

私は誰を守っている訳でもなく、誰を背負っている訳でもない。

『只の人魚』茜ヶ久保マリネだ。

…後悔はなかった。

そもそも私が女王などと、柄ではなかったのだ。

多くの付き従う者達の先頭に立ち、皆の命運を背負って生きる。

私はそんな生き方に疲れていたのかもしれない。

たとえ孤独でも、一人野垂れ死ぬ事になっても、私のせいで巻き込まれる者がいなければそれでいい。

私は私、一人で生き、一人で逝く。

それと引き換えの寂しさならば、耐える事もできるだろう…。

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