茜ヶ久保マリネの若気の至り
勝手に離別を宣言し、洞窟を飛び出したものの、早速今夜の寝床にも困る有様だった。

何しろ今の私は、天空宮近海ではお尋ね者同然の身だ。

匿う者もおらず、命を狙う者はサハギンもリヴァイアサンもいる。

うかうか野宿もしていられない。

人魚態になって海を泳ぐ。

この広い大海原。

一人投げ出されてしまう事が如何に孤独で如何に危険なのか。

今更ながら身に沁みてわかるような気がした。

思えば私は甘ちゃんだ。

幼い頃から女王になる身としてチヤホヤされて育ち、その境遇にウンザリしてじゃじゃ馬ぶりを発揮し、一人で人魚達を守っている気になって洞窟を飛び出したはいいが、行くアテもない。

典型的な世間知らずだった。

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