茜ヶ久保マリネの若気の至り
家を駆け出すと、既に満潮で島は腰の高さまで潮が満ち始めていた。

私は即座に人魚態に変化し、海を泳ぎ始める。

嫌な予感は、加速度を増して私の胸の内で膨らむ。

まさか…まさか…。

『茜ヶ久保マリネは、最早人魚の一族とは無関係』

そう言えと侍女に告げたのに!

そう言えば、少なくとも彼女達が襲われる事はないと踏んでいたのに!

私が出せる全速力で、海中を突き進む。

こんな時に限って、うねる海流が煩わしかった。

波が高く、まるで私が人魚の洞窟に行く事を阻んでいるかのようだ。

「どきなさい…どきなさいよ!」

私は波に向かって叫ぶ!

「仲間が危険に晒されているかもしれないのよ!」

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