茜ヶ久保マリネの若気の至り
大海戦
今一歩のところで。

私は行く手を塞ぐクラーケンに視線を叩きつける。

「どこに行くつもりだ、茜ヶ久保マリネ。まだお前の肉も一口しか食っていない」

「帰るのよ、当然でしょ」

鞘からスラリと海刀神を抜く。

この距離ならば一足飛びでクラーケンに斬りかかれる。

だけど、私はそれをしなかった。

…何故突然天井が崩落してきたのか。

勿論クラーケンの仕業には違いないだろう。

しかしその種明かしをしない事には、迂闊に間合いには飛び込めない。

奴の『得物』を見切らない限り、クラーケンの攻撃範囲も特性もわからないままなのだ。

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