茜ヶ久保マリネの若気の至り
鋭い尖端を持つ触手は、その巨体をくねらせて狭い洞窟内を暴れまわる!

「ちっ!」

海刀神を振るう暇もなく、回避に専念する私。

触手のパワーとスピードは尋常ではない。

触手が洞窟の壁面に激突する度に、洞窟そのものが大きく震動する。

やがてその衝撃に耐え切れなくなったのか、亀裂が走り、崩落が始まり、洞窟のそこかしこから海水が噴き出して来る!

忘れてはいけない。

ここは深海の洞窟なのだ。

壁面が脆くなってしまっては水圧に耐えられなくなり、こんな洞窟はすぐに崩壊してしまう。

止むを得ない。

私は瞬時に人魚態へと変化して、押し寄せる海水の中を泳ぎながら洞窟を脱出する。

泳いでいる間も。

「くっ!」

崩れ落ちる岩の隙間を縫って、触手が襲い掛かってくる!

海刀神で受け太刀しながら、私は海面へと急いだ。

のんびりしていては、洞窟の崩壊に巻き込まれてしまいそうだった。

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