茜ヶ久保マリネの若気の至り
全速力で海中を泳ぎ、何とか海面に浮上する。

「ぷはあっ!」

大きく深呼吸し、新鮮な空気を一気に肺に取り入れる。

何とか洞窟の下敷きにならなくて済んだようだ。

安堵の溜息をつく。

それも束の間。

「!?」

目前の海面が大きく隆起した。

まるで山のような海面の上昇。

やがて隆起した海面は巨大な水柱となり、深海から見上げるほどの大きさの生物が姿を現す!

「嘘でしょ…」

視線を遥か上に向けて、私は呟くしかなかった。

私の目の前に出現したのは、茶褐色の体色の、ちょっとした島ほどの大きさを持つスティングレイ(エイ)だった。

肥え太った中年男性の姿は仮の姿。

これこそがクラーケンの真の正体。

洞窟内で見せたあの触手は、スティングレイの尻尾だったのだ。

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