poco a poco~少しずつ~another side 【短編】
キミを呼んだのは「音色」?
「ねぇ、みんなで一緒に帰らない?」


「ごめん、あたし、今日ちょっと寄るとこあるから…」


「も〜、あんた、2日に1回は寄るとこあるじゃん〜。じゃ、明日一緒に帰ろう?」


「うん、ごめんね」



今から約2ヶ月ほど前。


今までは「部活動では」責任を持って鍵締めをする事を条件に、教室使用は自由だった。


だが、生徒会により「生徒は」放課後の教室使用は申請をしないといけない、という校則が新しく定められた。



定められた、というか…



発案者は生徒会副会長および執行部部長の





……………あたし。


あたしは昔からピアノを弾いている間だけは嫌なことを忘れられた。


例えば失恋とか。


でも家に帰ってから弾くのではちょっと時間が遅すぎる。


だからあたしは学校の音楽室のピアノが使いたかった。


で、使うためにどうするか考えた。


古い校則は部活動以外の教室使用は原則禁止、と言っているようなモノだ。


でも、音楽室を使う吹奏楽部なんて2日に1回くらいしか練習してないから、空いている日ぐらい使わせてほしい。


だから校内安全の考えの基に新しい校則を提案した。


生徒会役員には提案権があるから。


副会長の提案なら、と校則はあっさり変わった。

変わった、と言っても「次から申請しなさい」みたいに言われるだけだから誰も、細かいところなんて知らない。


生徒会役員も「申請が必要」のほうに気をとられて冒頭部分を「部活動」から「生徒」に変えたのに気づいてない。


と、いうことで、作戦終了。


あたしは音楽室の放課後使用権をばっちり頂戴した。

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