Beast
獣にかけられている呪いは、実に非情なものでした。
年をとるにつれてだんだん思考まで獣化してしまうというのです。
少女はそれを食い止めようと必死に本を開きました。
しかし、なんということでしょう。
少女は、小さい頃に呪いをかけられてしまったために、文字を読むことも書くこともできなかったのです。
あなたは私を助けてくれたのに、私はあなたを助けることが出来ないわ
どうしてなの
あぁ
大丈夫だから
君は私の隣で笑っていておくれ
しかしやはり、獣は自我を失っていきました。
日に日に暴れ出すようになりました。
そしてある日。
とうとう獣は、最愛の少女を傷つけてしまったのです。
幸い、深いキズではありませんでした。
しかし、獣は深く傷つきました。
これ以上一緒にいたら
君を傷つけてしまうだけだ
そして次の日、少女が目覚めると隣に獣の姿はありませんでした。