貴方が好きなの
私と冬夜の間にゆったりとした時間が流れる。
「どうしたの…?」
顔を覗き込んだ。
顔色は、悪くない。
さっき私の名を呼んでから、冬夜は続きを話さない。
「俺、…藍のことが好きなんだ……。だから、付き合って?」
私の中で時が止まった。
呼吸や、歩くこと、全てがぎこちない。
冬夜は鋭い視線で熱く私を見つめた。
囁くように放たれた言葉の意味を理解したのは、きっちり10秒経ってから。
「…ごめん……。冬夜の事は気になるけど、…好きな人がいるの」
意識しない内に言葉が出て、自然と冬夜から目を反らして俯いた。