貴方が好きなの

ある意味では、冬夜の事、好きだと思う。


それに、中川以上に気になる時もある。


でも、それは私にとって、友達に近い感情な気がする。


曖昧な感情は相手を傷つけるってよく聞くし。


「…その好きな人って中川だろ?藍、ウソ吐かなくていいから、正直に言えよ」


冬夜は、俯いた私の手を握って目を合わそうとする。


黒い瞳に吸い込まれそうになる。


「……うん、中川が好き」


催眠術にかかったみたいに素直に言葉が出て来た。



「やっぱり……」


冬夜は、悲しそうな顔をした。


そんな顔、させたい訳じゃないのに。


「でも、俺は、構わない。藍が好きなんだ!」






< 110 / 167 >

この作品をシェア

pagetop