貴方が好きなの

「…ありがとう」


じわーっと胸に冬夜の言葉が染み込む。


涙が出そうで鼻の奥がツーンっとした。


「中川には、彼女がいるけど、それでも、好きなのか?」


知ってるからこそ、聞きたくない。


ずっと目を背けてきたこと。


「…いいの。ずっと片想いのままで」


「よくねぇよ!!そんなの」


冬夜はそう言うとこれまでに無いくらい強く手を握ってきた。


「痛、いよ」


「ごめん………」


また悲しそうな顔をしながら、冬夜は手を放してくれた。


「俺と付き合えば、アイツの事、忘れられる」


そんなの、セコい気がする。


でも…………。






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