貴方が好きなの
その時、広間の入り口で、オデット姫の声がしました。
驚いて王子が入り口を見ると、そこにはオデット姫がもう一人立っていました。
《王子様、それは魔法使いの娘、オディールです。私に化けたのです》
《しまった!騙された》
王子が2人を見比べ、叫ぶと、今まで踊っていた娘は、オディールに戻りました。
そして、娘の家来に化けていた魔法使いロートバルトが現れ、高らかに笑い、言いました。
《王子、お前はわしの娘と結婚すると神の前で誓ったのだ。もう、オデット姫とは結婚することができないぞ》
王子は残念そうに
《あぁ、オデット姫を救うことができなくなってしまったか》
と叫びました。
王子がオデット姫と約束したのを聞いていたロートバルトは、こうなるように全て計画していたのです。