貴方が好きなの
「なんて馬鹿なんだ……」
いつの間にか隣にいた、冬夜は小さく、そう呟いた。
シナリオを読み終えたらしい。
「誰が?」
私もちょうど読み終えた。
「王子が……」
「どうして?」
自分がする役に向かって、何言ってるんだろう?
「姫を悲しませてる。結局ハッピーエンドだから良かったけど……」
「まぁね。でも、この話はバットエンドもあるらしいよ?」
ちなみにバットエンド版は、ラストの王子と姫が湖から出てこないらしい。
「そっかー。やる気半減したな。王子があんなんだとは……」
「冬夜はこの前の打ち合わせで何を聞いてたの?」
後半、言いながら笑ってしまった。