貴方が好きなの
「何も聞いてなかった」
語尾と顔にキラッという効果音が付きそう。
「バカだね」
なんて言いつつ、また笑いが込み上げてきた。
「そうだよ。俺ってバカなんだよ。だって藍のこと考えてたんだもん」
少しむくれながら言った冬夜の言葉に、頬が熱くなるのが分かった。
「あ、赤くなった」
「ぅ、…言わなくていいよ!」
配られたシナリオを読み終える人が徐々に増えて、ヒソヒソと感想を言い合う声が聞こえてきた。
「みんな、読み終えたか?」
藤本先生の問いかけに、みんなは首を縦に振り、頷いた。