貴方が好きなの
「…あ………はい、そうです」
ぎこちない返事。
「私、隣に越してきた、黒川 冬香[クロカワ フユカ]と申します。こっちは、息子の冬夜[トウヤ]。これからよろしくね。私のことは名前で呼んでくれていいからね。
………えーっと、名前、教えてもらえる?」
「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします。冬香さん、冬夜さん。
私の名前は、黒川 藍って言います」
「同じ名字なのねぇ。親近感が湧くわぁ。
……あ、まだ荷物が運び終わってないの。だからまた後で、もう一度ごあいさつに向かうわね」
申し訳なさそうに、冬香さんはそう言って引っ越し業者の元へ戻ってしまった。
後に冬夜さんが残った。