貴方が好きなの

ふと、声をかけられた。



「……黒川?」


「…あっ、はい」



聞いたことのある声に、びっくりして勢いよく振り向いた。




そこにいたのは、

中川。

と、隣に青野 翠。



「やっぱり黒川だ。
そうだと思ったんだ」


「…………久しぶりだね」

やっぱり2人は付き合ってるんだ。そう思って凹んでいたら、言葉がうまく出てこない。


うまく笑えない。


「…その人、誰?
もしかして彼氏?」


そう言って中川は冬夜を見ながら聞いてきた。



「…この人は、昨日私の家の隣に引っ越してきたの。名前は「黒川 冬夜です。よろしく。…そう言う君こそ誰?」


私の言葉を遮って冬夜は自己紹介した。


「俺は、中川 琢磨。こちらこそ、よろしく。
こっちは、青野 翠。俺の彼女」


冬夜が手を差し出して中川と握手した。



私は2人の様子を見ていたけど、青野 翠はさっきの中川の言葉に頬を赤らめて、うつむいている。



ホントむかつく。


別に中川が私のだって訳じゃないけど、何故か嫉妬してしまう。




また変なこと考えてしまっていた。


「…………同い年!全然分からなかった」


気付けば話が進んでいた。

「それ、よく言われる」


中川は私と同じようなことを言っていた。


「大人っぽいな」


「あぁ、ありがとう」


「ところで、2人はデート中なわけ?」


「そうだよ」






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