貴方が好きなの

私服だけど、校門をくぐって車の前にいる先生の元へ行く。


「部活終わりですか?」


サッカー部の顧問なのだ。

「あぁ。…それより黒川は何でこんなところにいるんだ?部活も終わってるし、補習だって受けてないのに」


「昨日、引っ越してきた子を案内してるんです」


「へぇ〜。偉いな、黒川は。で、昨日、引っ越してきた子って言うのは、そこの少年のこと?」


「そんなことないですよ。…名前は「黒川 冬夜です。この学校に通うと思うので、よろしくお願いします」


きっちり礼をする冬夜。


「そうなのか?」


「はい。まだ学校の転校手続きがまだみたいなんですけど、近いうちにまた正式に挨拶に来ます」


「おぉ、そうかそうか。……ところで2人は親戚なのか?」


「「いえ、違います」」


見事にハモった。


「今日、出会った中川 琢磨って言う人にも言われました」


苦笑する冬夜。


そんな話してたんだぁ。知らなかった。


…考え込んでたから、聞こえなかったんだね、きっと。






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