貴方が好きなの

階段を上がって二階も案内する。


本気で気まずい。


「…そういえば、冬夜は高校どうするの?」


気まずい中、やっとの思いで、まだこちらに視線を向けている冬夜に聞く。


「フツーに公立高校に通うよ。……ていうかこの学区の、ある高校に入学するために引っ越して来たようなもんなんだ」


「そうだったんだぁ。……ところで、ある高校って?」


「それは、……………」


そう言って冬夜が挙げた高校は私も行きたい高校と一緒だった。


「黒川と一緒じゃないか?」


やっと口を開いて声を発した先生。


「はい。……冬夜って、頭良いんだね」


私が目指している高校はとても偏差値が高く、卒業生の大半が国公立の大学に通うような学校なのだ。


またしても、冬夜の意外な一面を見た。


冬夜のことを知るたび何故か少し嬉しくなる。



なんでなんだろう。






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