貴方が好きなの
約20分後。
現在5時52分。
車の中でも、それほど会話が弾まないまま、今、私の家の前。
「さ、着いたぞー」
先生の声を合図に私は車のドアを開けた。
「ありがとうございました。
いつも送ってくれたらなぁ……冗談ですよ」
「先生だって暇じゃないからな!」
「ありがとうございました…」
少し遅れて冬夜が先生に礼した。
「あぁ。また夏休み明けたら、会おう。…学校で、なんか困ったことがあったら、この藤本大先生に相談するんだそ?
それから、黒川も意外と頼りになるから、黒川にも相談してみるといい」
「…はい」
「意外と、って何ですか!ちゃんと頼りになりますよ!!」
笑いながら「そうだな」って言うと、先生は車を発進させた。