貴方が好きなの
「……じゃあ、家、帰っろっか」
「…………」
「?…どうしたの?」
顔が見れないくらいうつむいてる。
「いや……なんでもないよ。…帰ろ」
「あ、そうだね…」
ホント、どうしたんだろう。
なんか暗くて、帰りたくないって言いたそうな感じ。
「…バイバイ?」
でも、気のせいだよね。
「バイバイ」
ほら、バイバイって返してくれたし。
帰ろっと。
そう思って家に向かって足を向けた。
「…キャッ……」
後ろから腕を掴まれて、冬夜にもたれかかってしまった。
昨日もこんな状況にならなかったっけ?
「…ご、ごめん。重いよね」
もたれかかっていることに気付いて、離れようとした。
でも、離れられなかった。
いつの間にか、後ろから、抱きしめられる形になっていた。
「………もう少しだけ」