貴方が好きなの
新学期
9月1日。
夏休みが終わって、今日から2学期が始まる。
あの日から、冬夜とは顔も合わせてなければ、メールなんかもしていない。
でも、
「はじめまして、黒川 冬夜です。よろしくお願いします」
新学期早々、転校生として藤本先生と共に教室に入ってきた。
自己紹介をしたとき、視線は私に向けられていて、極上の笑顔で少し、ドキッ、としてしまった。
なんか、悔しい。
それにあちこちの女子から「かっこいい」とか「大人っぽい」とか「イケメン」って若干黄色い声が上がってきてる。
「じゃあ、冬夜くんは、黒川の後ろの席に」
女子たちの声を遮るように藤本先生が言った。
クラスのみんなの視線が一気に集まった。
しょうがないじゃん。
だって新学期だから出席番号順に並んでいて、黒川の次は小林なんだし。
女子の視線が痛いよ。
マナとか、先生が面白がっているようにみえるのは何故?
男子は冬夜に冷めた視線を送りつつ、見てきてる。
冬夜はわざと、ゆっくり歩いてきて、すれ違いざまに、「久しぶり」って意地悪な笑みを浮かべながら言ってきた。