記憶 ―惑星の黙示録―
ワンッ!
『ぎゃははは。振られてやんの、バーカ。嫌いよッ!』
コンちゃんは楽しそうに尻尾を振って見上げ、アランは口を尖らせていた。
「も~。そんなに思いっきり拒否されると、さすがの俺も傷付くよ~?」
突発的に出てしまった言葉。
あぁ…また。
本当にね…?
御免なさい。
そう強く相手を突き放す台詞を吐くのは、悪い癖ね…
心の中で、
そう反省していた。
でも、間違っても好きにはならないから。
そうアランに視線を送る。
「…ちぇ~、残念。」
…と、いうか。
『あれ以来』、
異性を好きになる事がない。
恋愛の始まりが何だったか…
その方法すら忘れてしまった。
人として、
良い人、悪い人。
それだけ…
異性として意識する事が、
私の中で確実に欠けていた。
相手に好意を持たれているだろうと感じる事は度々あった。
口では、
『恋愛がしたい』と、
『理解してくれる相手が欲しい』と言っていた。
けれど、
好意を『感じた』瞬間に、
逃げていた。
踏み込んで来ないで。
私を知ろうとしないで。
駆け引きは嫌いなの。
……怖い。
私は、
恋愛は拒んでいるんだと思う。