記憶 ―惑星の黙示録―


「…ぇ、だからぁ~…」

まだ否定しようとするアランに、私たちの笑みがどんどんと意地悪くなる。


「…もぉ、お兄ちゃん。無駄だって~。」

『俺のカンでも、お前悪い奴じゃねぇぞッ?馬鹿だけどなッ!わははッ!』


「…私ね、普段の仕事上、相手の性格を分析するのは得意なんだよ。自分の事は苦手だけど。」

主任、だから。
部下が沢山居て…

この人はこういう性格だから、こう言ったらやる気を無くす。
あの人はこういう性格だから…

そう人を分析する事が、
癖になっていた。

仕事では一人一人に言葉を選んで、職場を円滑にまわそうと過ごしていた。
自分を偽ってまで。


「…あぁ…そうなの。」

アランは居心地悪そうに溜め息をつくと、諦めたように穏やかな顔で困った様にふっと笑った。


「…奈央に洗礼受けさせるの、俺…嫌だなぁ。」

「ふふふ、本心を読まれるのが怖い?」

私は意地悪くニヤリと笑う。

私の心を読んでるくせに。
自分のは、嫌だと…?

洗礼とやらを私が受けるかは分からないけれど…、

今に見てなさい?

屈辱は、倍返しが基本よね?


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