記憶 ―惑星の黙示録―


アランは『げぇっ…』と言わんばかりに顔をしかめて、


「…と、とにかく!先を急ぎましょーか!お嬢様方。ね?」

そう自分の視線を河から反対側へと移した。


そこには、
黄緑色の穏やかな草原。

草原は、視界の向こうで小高い丘へと変化している。

まるで…
そこへ向かうしかないかの様に、草原には緑に囲まれた一本道が敷かれていた。

丘の向こう側は、見えない。
在るのは、
爽やかな青い空に白い雲。


「…あの丘の向こうが、リュウのいる花畑だよ?」

穏やかな風が、ふわっと香らせる花の気配。
河を越える前から微かに香っていたのは、きっとその花畑からだったんだろう。


「お花畑、大好き!あたし、明るいお花畑って初めて!楽しみだね~?コン!」

『おぅッ!なぁなぁ、青い虫さん飛んでるか!?俺、遊んでもいいか!?』

そう顔を輝かせる二人にアランは笑顔を向けながら、首を捻る私に説明してくれた。


「…ハルカたち妖精の世界は、夜しか居ないらしいんだよ。」

あぁ…
なんか言ってたわね?

『あの街の住民は昼を嫌っている』とか。

ハルカちゃんとコンちゃんは、興味深々ってかんじで嫌ってはいないようだけど…


< 108 / 262 >

この作品をシェア

pagetop