記憶 ―惑星の黙示録―
アランは『げぇっ…』と言わんばかりに顔をしかめて、
「…と、とにかく!先を急ぎましょーか!お嬢様方。ね?」
そう自分の視線を河から反対側へと移した。
そこには、
黄緑色の穏やかな草原。
草原は、視界の向こうで小高い丘へと変化している。
まるで…
そこへ向かうしかないかの様に、草原には緑に囲まれた一本道が敷かれていた。
丘の向こう側は、見えない。
在るのは、
爽やかな青い空に白い雲。
「…あの丘の向こうが、リュウのいる花畑だよ?」
穏やかな風が、ふわっと香らせる花の気配。
河を越える前から微かに香っていたのは、きっとその花畑からだったんだろう。
「お花畑、大好き!あたし、明るいお花畑って初めて!楽しみだね~?コン!」
『おぅッ!なぁなぁ、青い虫さん飛んでるか!?俺、遊んでもいいか!?』
そう顔を輝かせる二人にアランは笑顔を向けながら、首を捻る私に説明してくれた。
「…ハルカたち妖精の世界は、夜しか居ないらしいんだよ。」
あぁ…
なんか言ってたわね?
『あの街の住民は昼を嫌っている』とか。
ハルカちゃんとコンちゃんは、興味深々ってかんじで嫌ってはいないようだけど…