記憶 ―惑星の黙示録―
本当は、
ゆっくり時間が欲しい。
ここがどこかを知る時間。
ハルカちゃん達を、
その世界を詳しく聞く時間。
情報を集めたい、
知らない事は知りたい。
じゃないと…
安心、出来ない。
私は普段から、そう。
情報を集めて導き出した幾つもの選択肢の中で、
一番、安全な道を選ぼうとする。
ここでは、それが通用しない。
だから余計に不安だった。
「お兄ちゃんたら、なんで急いでるの~!?」
『なぁ~!セッカチな男は嫌われるんだもんな~ッ?』
現実で時間に追われてばかりだった私の横では、急かされても尚マイペースの二人。
二人の居た夜の世界は、余程穏やかなんだろう。
そんな事を考えながら、
立ち止まっていた河岸から数歩だけ進んだその時。
私の耳が、
河の流れる音以外の、何か別の音を感じて…。
私は足を止めて、
河を振り返ってみた。
バサ…バサッ…
聞こえて来るのは、
そんな羽音。
それは徐々に大きく聞こえてきて、私は目を凝らしていた。
…鳥?
いや、
それにしては影が大きい様な気がする。
「どうしたの?ナオちゃん。」
『歩かないと馬鹿アランに怒られるぞッ!?』