記憶 ―惑星の黙示録―


そんな…私の心の声、
アランの今にも消えそうな小さな声。

後ろに居た二人に届いているはずも無かった。


ワンッ…
『…ナオ、アランは平気っ?…って、――きゃあぁぁ!ハルカぁ、アランがぁッ!!』

コンちゃんがそう叫んで、ハルカちゃんもアランの異変に気が付く。

「――…お兄ちゃん!?」

もう…
顔の輪郭すら、
存在していなかった…


「――アランっ!!アラン…」

そう伸ばした私の手は、
やはり宙を掴むだけ。

……いや、嫌っ…


「…奈央っ…聞いて。…花畑、…急げ…!」

アランの声が、
最後に、そう言った。


「…嫌だ、お兄ちゃん!!」

ハルカちゃんが駆け寄る目の前で…、
私のすぐ横で…、


アランは、消えた。


私はまた、
何も出来なかった。



――…消えてしまった。


私が…

消して、しまった――…



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