記憶 ―惑星の黙示録―


視界が、揺れていた。


「……ふっ…、うぅ…」

どうしても漏れてしまう声を押さえようとして、息が苦しかった。

胸が苦しい。
…痛い。

だから、
ギリッと拳を握る。


静かだった。

柔らかな風に吹かれ、
草花は、さぁ…と穏やかな音をたて、二人の泣き声と重なって私の耳に届く。


「…お兄…ちゃん…」
『…アラン~…』

私にとっては、昨日会ったばかりの人…。

それでも辛いのに、アランと同じ時を私より長く過ごしている二人の哀しみは、私なんかより大きいに違いなかった。

私は…
私だけは、

哀しみに、
蓋をしなきゃいけない…。



アランは、
…何を言っていた?

そう、落ち着いて…
思い出さなきゃ。


胸…
…紫色の光。


私は、宙を探す。
アランが居た所、胸の高さ…
そう、この辺り…


握った拳が、ふっと緩む。



「………居た…」


体は消えても居るから。

そういう事…?
アラン。


さっき、アランの胸で紫色に輝いていた「光」。

それが宙で…

頷くかの様に、
上下に、揺れていた――…。


アランは…
ここに、居たのだ――…



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