記憶 ―惑星の黙示録―


二人は私を見上げて、
瞳を見開いたまま…

動きを止めた。


カタカタと体を小刻みに震わせ、口を開いたまま言葉を失っていた。


「…どっ、どうしたの!?大丈夫!?」

『…ワンッ!ワンワン!』


「…え?」

コンちゃん、言葉は…?


私は平気なのに。
先程の体の重さと変わらない。
苦しくもない。

今、心配すべきはこの二人。


「どうしたのっ!?私は、大丈夫だよ。二人の方がっ…」

私はそう言いながら、
二人の元に屈んで手を伸ばした。

でも…

二人には、
触れられなかった。


「……!?」

すっ…と、
二人の体を、私の手が抜ける。


ハルカちゃん!?
コンちゃん!?
嫌だ、どうしたら…!


焦りばかりが募って、
掴もうと必死で…

ちゃんとした判断がつかなかったんだ。



「――いや、…嫌だよっ!!ナオちゃんまでっ、消えないでぇえぇーっ!!」


ハルカちゃんが、
私を見つめて叫んでいた。

「…ぁ…」

自分の手に、
自分の体に…

視線を落とし、なるべく落ち着いて確認してみる。


きゅぅ…きゅぅ…と、コンちゃんは鼻を鳴らし続けていた。


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