記憶 ―惑星の黙示録―
全員が助かるには…、
きっと花畑へ行くしか方法は無いんだよ。
だから、
私は嫌われたって、いい…。
「…頑張って!ハルカちゃん、コンちゃん。」
歩き出す私の後ろで、体勢を崩しながらも必死についてくる二人。
それをちらちらと何度も確認しながら、私は前に進んだ。
消えかけた私の体は、二人とは相反して軽くなっていた。
苦しみはない。
ただ、じわじわと意識だけが薄れていくのが分かった。
次第に、後ろの二人を振り返る事も難しくなっていた。
アランも、
消えていく時こうだった…?
白くなっていく視界。
風に揺れる草花の気配だけは感じていた。
その中で、
私の目指すのは、
目の前で導くかの様に揺らめく「紫の光」。
前から吹いてくる柔らかな風の中で、アランの声を聞いた気がした。
『心と体は、二つでひとつ』
『その双方が離れようとする時に、苦しみは生まれる』
だから、
アランも苦しんでいたの…?
皆は、だから苦しんでいるの?
じゃあ…
「苦しくない」私は…?
返事はない。
私の意識が生み出した、
空耳だったのかもしれない…
薄れゆく意識の中、
紫の光の向こうに花畑を見た気がした。