記憶 ―惑星の黙示録―
古道の脇に目をやれば、可憐な草花や緑の苔に溢れた岩。
『これ、よもぎ…?』
「よもぎ餅、食いてぇ…」
『奈央…食べ物の事は忘れなさい…。爽やかさが無くなる…』
そんな他愛もない会話を繰り返しながら散策していた穏やかな遊歩道は、進むごとに傾斜を増していったのだ。
転がる岩に足を捕られ、崩れそうな岩の階段を上り…
…ぜぇ…ぜぇ…
遊歩道の途中には、
遥か昔に造られた石像。
「旅の無事を込めた物」
苔の生えた「お地蔵様」…
それらが造られた背景が書かれた看板が並ぶ。
そして、
朽ち果てつつある座れもしない休憩所。
「…待って。休憩しようよ~!」
『…もう?』
『ダメダメ。一回休んだらその後の方が辛いよ?』
頑張れと励ます笑顔の二人を追いかけて、重い足を動かし続けた。
まるで…、
今の私と、逆。