記憶 ―惑星の黙示録―
やがて…、
私がやっと追い付いた時には、
二人は、大きな絵地図の前に立ち止まっていた。
何を説明する物なのか。
何もない場所。
緑の木々と岩に囲まれて。
ただ、それだけが目立って在った。
「…ぜぇ…、何?何だって?」
そこへ着くなり、私は体を前に傾かせたまま一足先にそれに目を通していた二人に聞いた。
『今の奈央にピッタリだよ…』
「…は…?」
『あはは、見てごらん?』
「はぁ…?」
二人は絵地図の中央を空け、来い来いと私を招く。
この古道の地図。
古道を中心とした、その周囲を説明した絵地図だった。
いつの時代の事だろう。
その地図によれば、今まで越えてきた山道は「針の山」。
この周囲は「地獄」と例えられ、
通る者に「地獄越え」と恐れられた道だったと書かれていた。
『…そこまで険しくは無かったけど~。』
そう首を傾げる愛里と。
『遊歩道だから大昔より整備されたんでしょ。奈央にとっては、この通り地獄だったでしょうよ…』
笑いながら私を見る絵美。
二人の視線は、息も切れ切れな私に向き『ふふ…』と笑い合っていた。