記憶 ―惑星の黙示録―
コクコクと頷きながら…
私の視線は、
地獄絵の「針の山」の先を追う。
この後の私たちの進む道に、これ以上のどんな険しい場所が待っているというのか…
地図の先は、黒い渦。
その横に書かれた名称は…
「…そ…底無し沼…!?」
『…おぉ、行ってみよ~う!』
予想通り楽しそうに顔を輝かせ、意気込む二人。
「――…マジで!?」
この「地獄」は、例え。
先にある「底無し沼」も、ただの小さな「池」。
分かってるけれど。
「…もう疲れたよ~!」
嫌だ嫌だと首を振る私。
駄々をこねる子供。
二人の前では、こんなにも弱気で素直に振る舞う私。
これが、
きっと、本当の私…?
『…はい。休憩、終わり!』
『行くよ?奈央~』
どうしても行くのならば少しでも休憩を長引かせようと、私は地獄図にその術を探した。
「…んあ、まだ何か書いてあるよ!愛里が好きそうな内容だ…」
歩き出そうとする二人が視線を私に戻す。
「これこれ…」
地獄図の左隅。
それは、
黒い達筆な立派な文字で、縦書きに小さく書かれていた。