記憶 ―惑星の黙示録―
古文とか、そちらの類いか難しく書いてあって全てを理解は出来なかった。
でも、多分…
「…ん~…人は、浄土を求めて、6つの世界を旅している…って、書いてある?」
『浄土って、極楽…?』
『仏教、なのかな?』
多分、当時の旅人を励ます内容なんだろう。
この険しい道も、
その為の試練と考えて頑張って越えろ…って事なんだろうな。
仏教はよく分からないし、法事でもない限りそんな内容にも出会わない。
そんな私たちが興味を持った文章が…
「…6つの世界だってさ!」
『愛里が好きそうだね。』
『…うん。好き。』
私の思惑通り、
休憩時間は増えたのだ。
愛里は、食い入る様にその文章を見つめていた。
その理由を知る私と絵美は、静かに微笑みながらそんな愛里を見つめていた。
不思議な子。
高校時代…
愛里の席の隣だった私は、たまにポツリと呟く愛里の言動に首を捻っていた。
『…帰りたい…』
最初は、早退したいって事だと思っていた。
授業や勉強の時間なんて、
誰だって帰りたくなるに決まってる。
だけど、
私や絵美と違って、愛里は勉強も好きで…