記憶 ―惑星の黙示録―
体重では私が勝っていたはずなのに、すんなりと引っ張られたのだ。
「いやぁぁあぁぁぁっ!!」
七色に光る丸い筒状の、
かなり急斜面な滑り台を下に降りていく。
リュウは余裕の笑みを浮かべながら、優雅に頭に被っているキャスケットが飛ばないように片手で押さえていた。
灰色のコートの先を優雅になびかせて。
『大丈夫?』なんて私に聞く。
私の場合、
リュウのおかげで飛び込んだ体勢が悪かったので、頭からうつ伏せに落ちていく。
これは夢。
そう分かってはいるけれど…
「なんで、私がこんな目に合うのぉ――!?」
そう叫ばずには居られない。
胃が縮む。
心臓がバクバクいう。
何がどうなって崖にいて、
生意気な子供が出てきて、
今は滑り台落ちて…、
あぁ、わけが分からない。
私はなんとか体勢を楽にしようとバタバタと暴れていた。
リュウは、そんな私をなだめるように眉をひそめて言った。
「奈央~、そんなに暴れないでよ~。せっかくの空間が壊れちゃうよ…。」
「だって!なんで道なのに落ちていくの!?」
リュウは当たり前のように、
「そんなの、近道だからに決まってるじゃん。」
と笑って答えた。