記憶 ―惑星の黙示録―
小さくて小さくて、
微かにしか聞こえないけれど、
アランの、声…?
「…ねぇ、アランは!?」
そう私が周囲を見回すと、
二人の表情がみるみる曇っていった。
「ナオちゃん…お兄ちゃんは…」
『…ぇぐ。さっき死んじゃったじゃんかぁ…』
「ナオちゃん、気絶してたから…混乱してるんだよ、コン…」
あ。
……しまった。
説明してなかったんだ。
「…あの、アランは死んではなかったんだよ。多分、体が消えちゃっただけで…」
「…え?」
何て説明すれば良いんだろう。
自分でも理解しきれていないのに…
「紫色の光が、この辺に浮いて居なかった?それが…アランみたいなんだよね…?」
『…ど、どゆことッ?』
喜びと驚き。
ハルカちゃんは複雑な表情を浮かべながら、理解しきれずに首を傾げて眉間にしわを寄せていた。
コンちゃんはソワソワと、簡単な説明を私に求めるが…
本当にね…
どういう事なんでしょうね?
私にだって分からない。
本人にちゃんと説明して貰いたいのに。
いくら周囲を見回しても、
紫色の光は、
橙色の花畑に紛れているのか、
見つけ出せなかった。