記憶 ―惑星の黙示録―
「まずお前さんたちの心を読む限り、一番の心配。…アランの事からな。」
リュウさんがそう静かに話し出したので、私たちはゴクリと唾を飲んだ。
「…紫の光、すなわち今の姿。これが、この世界でのアランの『本来の姿』だ。だから心配はいらねぇよ。」
……本来の?
私たちは一瞬言葉を失ったものの、すぐに色々な疑問が頭を巡る。
「…だって。あの街で会うアランお兄ちゃんは…、いつものお兄ちゃんは…」
『体あったし触れたぞッ!?』
リュウさんはそんな二人の言葉を否定するでもなく、静かに頷いていた。
「あぁ、そうだな。アランは自分の『魔術』で、本来は存在しない『体』を造って暮らしていた…。」
体を、
造っていた…?
ぽかんと口を開け固まる二人。
今度は、私がリュウさんに聞く。
「…他の住民にも、そういう人が居るの?」
「いや?洗礼を受けた者にとって境界線の向こうで暮らす事は、かなり力を使うから…なかなか出来ない事さ。」
リュウさんは呆れた様に紫の光に目を向け、一つ溜め息をついた。
「…魔術の使いすぎで弱ってるのさ、このバカは。」
そう言って、
私たちに詳しく話し出した。