記憶 ―惑星の黙示録―


転生する度に、
記憶は消されるのが「掟」。

前世…
それは、
覚えていてはいけない事。


しかし、
潜在的に『魂』は全てを忘れてはいない。

はっきりとは、
自身でも気付かない「何か」に、
ふとした瞬間、
囚われてしまう事も在る。


愛里も…そうだったの?
「砂漠」って…



「…おっ、しまった!そろそろ仕事の時間か!今、何時!?」

今まで落ち着いていたリュウさんが、急にそう呟いたから…
ただ事じゃないと思って思わず自分の腕時計を見た。

透けた腕に、
透けた腕時計…


「……あれ?」

その針は、
止まっていた。


「…あぁ、ごめんよ。それは、奈央ちゃんの世界の時を刻む物。この場所に時は無い…」

説明してなかったな、
リュウさんはそう言って、自分の胸から懐中時計の様な物を取り出した。


「…ここは、世界で一番『永遠』に近い場所。各世界とは切り離されてんだ。各世界の時を知れるのは、俺のこの時計だけだ。」

パカッと片手で時計を開け、その文字盤を確認しながら…


「さて…ハルカちゃんたちの世界の今の時間は…と。」

「あたしたちの…?」


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