記憶 ―惑星の黙示録―


ワン!
『帰るって、どこへだよッ!?元の世界?…って、俺ってば質問しちゃった!あぅ!』

いや、それは質問していいと思うわよ…って、突っ込み入れてる場合でもなく。


リュウさんが横の空間に手をかざすと、その場所に光を帯びて何本もの線が走る。

網目の様に、模様の様に…
その光の線が、
幾重にも重なって重なって、

ついには、
「扉」となって…
私たちの前に現れていた。


「…何…この扉…」

重そうな威圧感のある、
両面開きの大層な、ドア…。


「世界を繋ぐ扉さ。二人を…元の妖精の世界に送ってくよ。運命を正す、もしくは導く、…それが俺の役目だ。」

「でも、だって…。ナオちゃんの事、解決してないよ!」

『まだお別れしたくないもんッ!だって…また、キースみたいに会えなくなっちゃうじゃんかぁッ!』

二人はそう首を横に振ると、揃って私を見つめていた。

私は何を言えば正しいのかが分からずに、リュウさんの言葉を待っていた。

今二人と別れるのは心細い。

でも…
運命を正すと言った。
従った方が二人の為なんじゃないか、そう思っていた。


< 169 / 262 >

この作品をシェア

pagetop