記憶 ―惑星の黙示録―
「…もう、あれから5年経ったんだよ?いっぱい探したんだよね、コン。」
『…うん。探した…』
やっと会えるんだ。
良かったね、ハルカちゃん…
きっと、
あの二人と同じ。
目に見えない、大切な絆…。
風に揺れる花畑。
光を帯びた背の高い「扉」。
ここでの記憶は、
二人には残らないのだろうか…
私と、出逢った事も。
皆で共有した…
ここでの時間も…、
少しだけ知った、
「世界の秘密」も…。
そう考えたら、
寂しさが込み上げて来たが、私は涼しい顔をする。
ハルカちゃんの潤んだ瞳が、
私の瞳を写した。
「…ナオちゃん、ごめんね。あたし帰っても、…いいかな?」
本当に申し訳なさそうに、私から少しも瞳を逸らさずにハルカちゃんは聞いた。
「…勿論。やっと念願の彼に会えるんだから…」
これは本心。
しかし同時に、
羨ましい、寂しいという今必要ない感情を…、
私は噛み殺して笑った。
私はもう前の世界に戻れない、
死んだかもしれない。
それも、
忘れた振りをして笑った。
私の事は大丈夫だよって。
…また同じ。
いつかどこかで、この状況を頻繁に繰り返している様な気もした。