記憶 ―惑星の黙示録―


止められたコンちゃんは、私の腕の中でしゅんとして「ちぇっ」と呟いていた。

飛び回る光を見て、追いかけたくなるのは、…犬の習性なのかしら?


「…もぅ、コンは…。ナオちゃんもアランお兄ちゃんも、元気でね!色々ありがとう!」

「…ハルカちゃんも、元気でね。キース君と、幸せになってね?」

「――…うん!」

ハルカちゃんは幸せそうに、力のある笑顔を私たちに向けた。



「…さぁ、そろそろ…」

扉の前で、片手に懐中時計を持ったリュウさんが待っていた。

ハルカちゃんは顔をこちらに向けたまま、扉に向かって足を進め出す。


「…ほら、コンちゃんも…」

名残惜しそうに私の胸に顔を寄せるコンちゃんに、私は瞳を落とした。
イヤイヤ、と涙を溜めて首を振るコンちゃん。

私も寂しいけど…
でも、行かせなきゃいけない。


私は…
抱きとめていた手を、
パッ…と離した。

コンちゃんの体は、
花畑へ、急降下。


『――きゃぅッ!』

そう悲鳴をあげながら、
地面へ落ちる前に翼を羽ばたかせ、バランスを保ったコンちゃんに私はホッとした。


『…むぅ!いきなり何で離すのぉ!』

コンちゃんはジトッと私を睨みながら、瞳に涙を溜める。


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