記憶 ―惑星の黙示録―


風圧に負けまいと村を必死にじっと見ていると、風で目が痛い。
涙が出る…。


村…?
人が住んでる村よね?

殺伐とした雰囲気。
活気はないし、質素…。

なんだろう、
この違和感……


「……ぇ?」

私が常識的に人間だと思っていた村の住民には、
よく見ると頭には角とも見える長い突起物が生えていた。

そして、
私たち「食料」を見上げて不気味に微笑んでいた。


「ここは、鬼が住む村なんだ。どうやら、久々のごちそうみたいね?」

「……!?」

私はすでに声も失い、風圧で涙が飛ばされる。


――…鬼!?

「鬼」って、昔話に出てくるアレの事!?


「平気平気~。俺、鬼さんたちとも友達だし。…何?怖がることないって!死にはしないからさぁ。」

とリュウは笑った。
笑いながら村の鬼たちに手まで振っている。


「でもっ…!」


死にはしないって…

――死ぬでしょ!これ。


夢なら何でもありなわけ!?
こんな夢、私は御免よ!



その時、


「きゃぁあぁぁぁ~!!」


ブァッっと風に煽られ、私たちの体は横に流されたのだ。


わけの分からないまま、

鬼の村が、
私たちから次第に遠ざかっていく。


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