記憶 ―惑星の黙示録―
そんな私を、
やっぱり彼は知っていて、
言わなくても良いのにそれを口に出した。
「…奈央の背中が寂しそうだったからさ、抱き締めて欲しいかな~と思って?」
そう言って力を込めるアランに、私は何も言えなかった。
私…
まるで子供みたいね?
「泣いても良いんだよ、奈央?」
「…泣かないわよ…」
今まで通りの私の強がりに、彼は笑いを溢す。
気が付けば、
涙は乾いていた。
「ごめんね…俺が消えたばっかりに、辛い想いさせて。でも、皆を花畑へ連れてきてくれて有り難う…」
お陰で二人とも無事だった。
そう言うアランに私は静かに首を振る。
私たちこそ、
無理させてて御免ね…
アランは後ろから私を抱き締めたまま、少しだけ間を置いてから話し出す。
「…本当は、奈央を迎えに行くのはリュウだった。この世界を案内するのは、リュウの仕事なんだ…」
「…え?」
初めて逢った時の事を思い出した。
アランは子供の姿で、
『リュウ』と名乗っていた。
「…奈央がこの世界に来て、俺はどうしても奈央に逢っておきたかったから…リュウが来る前に、俺がさらった。」
さらった…?