記憶 ―惑星の黙示録―


…あ。
忘れてたけど、誘拐犯って…


「リュウさんが言ってた『誘拐犯』って…」

「そ!俺の事~!」

アランは、ばつが悪そうに少しだけ笑った。


「…ごめん。奈央がこの世界に来る事、俺は知っていたんだ…」

…知っていた?
それは、どうして…?


「……いつも、見てたから。」

アランの低い声が、
私の耳元でそう言った。


「見てた…って…?」


高い声のアランは、
自分を偽っている時…。

低い声のアランは…、
真剣な話の時。
真実を、話そうとする時…

本当の、アランだから…


アランはそっと私から離れると、花畑をゆっくりと歩き出す。


「…リュウが戻って来るまで、少し俺の話をしようか…」

「…砂漠の事…?」

その問いに私を振り返りながら、少しだけ笑ったアランは寂しそうに見えた。


「…俺が、どこで奈央を見ていたのか…案内するよ…」

行こう?
そう言って花畑を歩き出すアランを追いかけた。


アランの体が離れたから、
なんだか不安で…。

私の寂しさに、
アランの寂しそうな笑顔が拍車をかけて…、

また泣きそうになった。


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