記憶 ―惑星の黙示録―


洗礼を受け、次の世界への通行許可が出るまで待つ場所…

そんな事をリュウさんが言っていたから。


「リュウはさ、運命を紡ぐ者。間違った運命なら、それを正すし…。正しい運命へと時空を越えて導く。」

「…うん?」

リュウさんには、時間も空間も思いのままって事?


「…だから、俺が奈央を誘拐したのも、それによって奈央がハルカたちに出逢ったのも…。それに今、俺が連れ出したのも…」

運命の中の一つ。

この行動にも意味がある…?
決して間違ってはいない、という事なの?


「…だと思うんだよね。じゃなきゃ、俺が奈央を誘拐したってのに、花畑でよりによって昼寝なんてしてないと思うわけ…」

「昼寝…」

確かに…

花畑で声を掛けたリュウさんは、大あくびをしながら…
私たちを待っていた風だった。


間違った運命なら、
正すのが仕事。

正そうとはしていなかった。

それか…
これから過去に戻って正したりするのかしら…

考えたところで、
リュウさんにしか分からないわね。

それでも…

何かを考える事で、
「寂しさ」から逃れようとするのが、私なんだと思う。


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