記憶 ―惑星の黙示録―
また場面が徐々にぼやけ、視界に色が戻ると…
そこは紺色の空で、
月が二つ…
いや、三つ…。
木々が緑色に光を放つ、
夜の世界…
ここは…ハルカちゃんの…?
何色もの石が敷き詰められた地面の上で、見た事のある様な男の子が一点を見つめていた。
さっきより若いけれど、
あれは…
キースっていう人…?
『…私たちを忘れちゃうの…?嫌だよ、キース…』
白いローブに身を包みそうキース君に呟くのは、黒髪に青い瞳の知らない女の子。
でも、
あの雰囲気…
――…愛里…?
「…やめてくれ、エマ…」
彼は対峙するその子に震える声を絞り出していた。
何…?
愛里…じゃないの…?
周囲を見渡せば、
近くには黒い犬竜が居て。
少し先には女の子も居て…
あれは、
少し前のハルカちゃん達なのだと、私はもう分かっていた。
『…自分だけ、逃げるんだな…。あの二人を、救えなかったくせに…』
聞き慣れた声に視線を戻す。
黒い髪に、青い瞳。
そう目を伏せた彼は。
「――…アラン…」
アラン?
――違う、
俺じゃないっ…――